お母さんの“今”の気持ちに寄り添える場所にしたい

ビジネスコネクトふじのみや(以下、ビジコネ)で開業までのサポート、開業後の経営・経理等のサポート。

  • chill café
  • 業種:飲食業
  • 創業:2024年6月4日

はじめたきっかけ

高校生の頃から「いつかお店をやりたい」と思っていましたが、具体的に何をするかは決まっていませんでした。私はもともと子どもが大好きで、子どもと関われる仕事を探していましたが、保育士はピアノができないと難しいと思い、子どもと接することができる小児科の看護師として働き始めました。

その後、結婚・出産を経て、看護師の仕事と子育ての両立が難しくなり仕事を辞めました。子育てをする中で、子どもは大好きだけど、イライラしてしまったり、不安や孤独を感じることが多くありました。そんな時、自分だけでなく同じように悩んでいるお母さんがたくさんいるのではないかと思うようになりました。
「自分にできることは何だろう」と考えた時に、そういったお母さんたちに寄り添える場を作りたいと思いました。ただの託児所ではなく、「今困っている」「今預けたい」「今一人になりたい」といった“今”の気持ちに寄り添える場所にしたいと考え、託児を始めることにしました。
また、子育て中は栄養バランスの取れた食事を摂るのはなかなか難しく、簡単に済ませてしまうお母さんも多いと感じていたので、栄養のある食事も一緒に提供できるお店にしました。

育休中には、もっと子どものことを学びたいという思いから独学で保育士の資格を取得し、さらに子育て支援員の資格も取りました。やりたいと思ったら一直線に進むタイプなので、このお店も2~3年で今の形にすることができました。

オープンに向けて大変だったこと

お店の準備は本当に大変でした。栄養のあるメニュー開発はもちろん、特に食器選びにもこだわり、毎年「大陶器市」に通ってお気に入りの食器を少しずつ集めました。照明も明るすぎず落ち着いた雰囲気にするなど、細部まで工夫しました。

また、子連れのお母さんが安心して食事を楽しめるように託児スペースの作り方も工夫しました。実際に東京や静岡市の託児施設やキッズスペース付きの店に足を運び、子どもを連れて利用する中で「もっと安心して食事ができる空間にしたい」と感じ、今のスタイルにたどり着きました。

カフェについて

カフェのランチメニューは、栄養士さんが毎月考案して提供しています。月替わりの「一汁八菜」ランチでは、自家製ピクルスとグリーンサラダが定番で、それ以外のメニューは毎月内容が変わります。ランチはだいたい14時頃にはご飯がなくなってしまうことが多いので、その後はドリンクメニューのみで営業しています。

平日の方が比較的お客様が多い印象です。平日はランチタイムに一気にお客様が来店され、土曜日は一日を通して途切れずに来てくださる方が多いです。どちらかというと、ママ友同士でゆっくりおしゃべりしながら食事を楽しむような利用が多いですね。

テイクアウトは現在クレープのみですが、サラダクレープもテイクアウトに加えられたらと検討中です。クレープの生地は米粉を使用しており、こちらも栄養士さんが考えたレシピをもとに、私たちが一つひとつ手作りしています。

お客さんの反響

オープン当初はお客様が減っていくのではと不安もありましたが、月替わりランチを楽しみに通ってくださる常連さんも増え、とてもありがたく感じています。
多くの方がInstagramをきっかけに来店されていますが、孫に聞いて来たおばあちゃんなど、幅広い年代の方が来てくださいます。9割ほどが女性で、ママ友同士の利用が多いですが、男性はビジネスマンのランチや仕事の合間にコーヒーを飲みに来る方が多い印象です。
オープン前からInstagramで発信を続けてきましたが、場所が少し奥まっているため「知らなかった」と言われることもあります。あえて看板は出さず、隠れ家的な静かな雰囲気を大切にしています。

託児と併設した理由

「お母さんたちにゆっくりご飯を食べてほしい」そんな想いがあります。私自身、子どもが小さい頃は子どもの世話でいっぱいになり、ご飯をゆっくり味わう余裕がありませんでした。だからこそ、少しの時間でも子どもを預けて、自分のために旬の食材を味わい、食事を楽しんでほしいと思っています。子どもは可愛いけれど、少し離れて自分と向き合う時間も大切です。すぐ隣で預けられる併設型なら、お母さんたちも気軽に利用しやすいのではと考えました。

託児について

託児を利用される方には、カフェスペースとは完全に仕切った空間でお子さんをお預かりします。仕切りの扉を閉め、必要であれば保育士が外遊びにも連れて行きます。例えば、お母さんがカフェで食事をした後、買い物の間の 2 時間だけお子さんを預けるといった利用も可能です。カフェをご利用いただいたお客様にも、できるだけ託児をキッズスペースとして利用できるよう柔軟に対応しています。

実際の利用シーンでは、通院や美容院などの用事の合間に3~5時間程度預ける方が多いです。「少し休みたい」「一人になりたい」という気持ちも大切だと思っているので、預ける理由はどんなことでも構わないと思っています。リフレッシュすることで、また笑顔で子どもと向き合えるようになれば良いなと思っています。

利用料について助産師の友人からは「安いね」と言われることもあります。ただ、市の一時預かり保育と比べると高く感じる方もいるかもしれません。その分、少人数制で手厚く対応し、預かり中は写真を随時お送りするなど安心感のある環境を心がけています。予約や手続きもすべてLINEで完結でき、夜間でも気軽に連絡が取れるようにしています。もっとたくさんの方に気軽に利用してもらえたら嬉しいですね。

支援を受けて

お店を始める前から相談をしていたおかげで、現実的なプランを立てることができました。お店を始めた後も、分からないことが出てくるたびにビジコネの担当の方にすぐに相談できて、「ここが分からないんですけど」と聞くと、すぐにお返事をいただけるので本当に助かっています。人を雇うときの手続きや、もし辞めてしまった時はどうしたらいいか、提出書類についてなど、細かいところまで教えていただきました。何か分からないことがあれば、すぐに相談できる安心感があります。

特に大変だったのは経理関係です。前職は看護師だったので、経理は全くの初心者で、何から始めたらいいのか分かりませんでした。経理ソフトは何を使ったらいいのかといった初歩的なことから丁寧に教えていただきました。給料明細の作り方や年末調整のやり方もわからず、ビジコネの担当の方に一つずつ教えてもらいましたね。申請書や提出書類の書き方も難しくて、本当に最初から最後までたくさん助けていただきました。

今も支えてもらいながら、安心してお店を続けられています。本当に心強くて感謝の気持ちでいっぱいです。

イベント出店への野望

最近はイベント出店のお声がけも増えてきて、今後もできる限り参加していきたいと考えています。季節に合わせたメニューを考えながら、工夫して楽しみたいです。ただ、メニュー開発や人員確保など、今後の課題が残っています。

これから創業する方へ

やりたいと思ったら、まずは自分の目で見て、足を使って調べてみることが大切だと思います。でも、やっぱり一人の力だけではできないこともたくさんありますし、不安なことや分からないこともたくさん出てきます。ネットで調べても答えが見つからないこともあるので、そういう時は専門の方や周りの人に相談して、いろいろな人の意見を聞きながら形にしていければいいと思います。

私自身もこれからまだまだビジコネにお世話になると思っています。わからないことは誰かに相談しながら、焦らずゆっくり進めていければいいのかなと感じています。私も学びながらですが、自分の好きなことを仕事にしているので、とても楽しいです。もちろん大変なこともありますが、楽しいからこそ頑張れるんですよね。

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