人と人との繋がりの中で追求する、ペットの幸福

ビジネスコネクトふじのみや(以下、ビジコネ)にて、新規開業にあたっての事業計画書作成・補助金申請をサポート。
- Pets Concier (ペッツ コンシェル)
- 業種:ペット用おやつ企画・販売、サプリメント企画・開発コンサルタント
- 創業:2025年4月
チャレンジ精神の学びと創業への想い
創業は2025年4月です。2025年3月末日に前職のサプリメントの受託メーカーを退職した後すぐの創業ですが、準備は2月から始めていました。起業を考え始めたのは退職の約1年前、ちょうど50歳を迎えた頃でした。これから仕事にしっかり向き合える期間を考えると、70歳までの約20年は決して長くないと感じたことが、創業を後押ししました。
前職には約21年間勤め、外資ファンドへの売却や、その後国内大手企業による買収など、組織が大きく変化する過程を経験しました。新しい人材が次々と入社し、課長職だった頃は部長が毎年交代するほどの変化が続きましたが、タイプの異なる上司から多くのことを学べたのは貴重な経験だったと思います。また、外資が入ったことで会社全体が挑戦を重ねる姿勢に変わり、私自身もチャレンジすることの重要性を強く意識するようになりました。サプリメントの実務だけでなく、マネジメントも学ばせてもらい、やり切ったという実感がありました。事業の基盤づくりには時間が必要であり、今動かなければ間に合わないという思いも重なり、起業を決断しました。
Pets Concierの二つの事業

事業内容は大きく分けて二つあります。一つは『Wild Kitchen(ワイルドキッチン)』というブランド名で、犬猫用のおやつの企画と販売を行っています。主力製品は富士宮産ニジマスを使ったジャーキーで、市場に出回らない規格外のニジマスを有効活用し、犬猫用のおやつとして製品化しています。
もう一つは、犬猫だけでなく人も対象としたサプリメントの企画や販売促進を支援するコンサルティング業です。サプリメント受託メーカーでトータル25年間培った経験を基盤に、依頼企業の課題に応じて企画の方向性を整理し、販売方法や販路の戦略立案、販促支援を行っています。長年の実務経験を活かした事業です。
地域貢献と販売事業への想い
企画・販売に取り組もうと思った理由は、これまで主に製品を作る側の仕事をしてきたため、自分自身で販売まで行ってみたいという思いがあったことです。長年受託メーカーにいた人は割とそういう性(さが)があるようです(笑)。
また、子どもたちが学校でSDGsを学ぶ機会が増え、一緒に宿題に取り組む中でフードロスへの意識が高まったことも大きなきっかけでした。
富士宮市のフードロスについて調べていた際、市内の高校生が未利用ニジマスを肥料として活用している記事を目にしました。年間6トンものニジマスが廃棄されていることを知り、地元の養鱒場に問い合わせたところ、やはり廃棄量が多い現状を伺いました。
起業を考えていた時期に抱いていた「社会に貢献できることをしたい」という思いと、子どもたちから学んだフードロスの課題が重なり、未利用のニジマスを使った製品づくりに挑戦しようと決意したことが現在につながっています。こうした地域資源を活かす取り組みが評価され、富士宮市のふるさと納税返礼品にも登録されました。
本能を刺激する素材へのこだわり

犬猫は本能で食べ物を選ぶため、食べてくれるかどうかが非常に重要です。試しに我が家の愛犬3頭に蒸したニジマスを与えたところ、驚くほど食いつきが良く、近年、肉アレルギーを持つ犬猫が増えている現状でも安心して与えられる新しいタンパク源になり得ると感じました。DHA、EPA、たんぱく質など栄養価も高く、犬猫用のおやつとしての可能性を確信しました。製造方法はシンプルで、余分なものを加えず魚を丸ごと温風乾燥しています。粉末状の商品もあり、猫、小型犬、シニア、歯の弱い子にも好評です。皮はコラーゲン、身はタンパク質、骨の栄養まで余すところなく摂れることにこだわり、素材を丸ごと使うことで犬猫の本能に訴えかける食べがいのあるおやつに仕上げています。『Wild Kitchen』という名前には、自然資源を大切に活かすことと、犬猫が本来持つ本能を刺激し喜びを引き出すことの二つの意味を込めています。
商品PRのカギは「ペットオーナー」

現在は市内の特産品販売店などで取り扱っていただいており、売れ行きは好調です。ペットショップ以外でも、オーナーが犬を飼っている店舗では看板犬が商品の魅力を伝えてくれることもあります。
販促としてマルシェへの出店にも力を入れており、市外のイベントでもニジマスジャーキーへの反応が良く、魚のジャーキーはアレルギー対策として需要が高まっています。購入したお客様が仲間に配って広めてくださるなど、ペットオーナー同士の横の繋がりから新たな顧客が増える流れができています。インスタグラムで積極的にWild Kitchenの製品を紹介してくださる方も多く、温かいお客様に支えられているブランドだと感じています。
ビジコネの支援を受けて

ビジコネの支援は、創業支援セミナーを受けたことが始まりでした。まだ事業のイメージが固まりきっていない段階でしたが、個別相談を重ねる中で事業内容が具体化していきました。
その後も販路開拓などについて助言をいただき、市役所の担当の方が本当に親身になって支援してくださいました。勤労者共済会、ふるさと納税担当課、県外の専門家など、多方面へ橋渡しをしていただき、製品開発のアイデアにも協力いただきました。補助金についても、ありがたいことに静岡県の小規模企業経営力向上事業費補助金と国の持続化補助金の2件が採択されましたが、専門家との連携や書類チェックなど商工会議所の支援があったからこそ実現したものです。市役所と商工会議所が一体となって協力してくださり、経済的にも精神的にも大きな支えとなりました。
創業を考えている方へ
資金繰りやお金のやりくりは創業前に理解し、シミュレーションしておくことが大切です。私は資金が減ってから動き始めてしまいましたが、早めに相談し計画的に進めると良いと思います。
また、補助金にチャレンジすることもお勧めします。補助金申請で書類作成の力が身につき、自分の事業を見つめ直す機会にもなります。事業計画書を書くことで、自分が事業を通じて何をしたいのか、将来のビジョン、社会貢献への意識が明確になります。養鱒場、市内の冷凍倉庫やニジマス加工に協力してくださる方々をはじめ、事業を支えてくださる多くの方々への感謝を再確認する機会としても、事業計画書の作成は非常に意義のある時間であったと感じています。
今後の取り組みについて
『Wild Kitchen』の製品開発については、今後も新しい商品を増やしていきたいと考えています。小型犬や老犬向けのおやつ、アレルギー対応製品など、より多くの子が食べられる選択肢を広げたいと思っています。フードロス削減の観点では、ニジマスを配合したドッグフードを製造することでさらにロスを減らせる可能性があり、クラウドファンディングの活用も視野に入れています。
また、保護犬猫の支援は私の事業の根幹にあります。民間の保護団体は自費で活動されていることが多く、犬猫だけでなく、支えてくださるボランティアの方々の負担を少しでも軽くしたいという思いが強くあります。保護犬たちが一頭でも多く、より良い環境で新しい家族に迎えられるよう、保護犬のトレーニングも取り組み始めました。今後はドッグトレーナーの資格取得も目指しています。
私一人でできることは限られていますが、向き合うべき課題は明確です。せっかくこの世に生まれてきたのであれば、社会に貢献し、自分の歩んできた道に納得して終わりたい。そんな思いを胸に、これからも少しずつ、楽しみながら取り組んでいきたいと考えています。先輩の言葉を借りれば、徳を積んで天国に行きたい(笑)。その気持ちを忘れず、できることを一つずつ続けていきたいと思います。
事業者情報
- 事業者名:Pets Concier
- 住所:〒418-0001 静岡県富士宮市万野原新田3975-10
- 電話番号:090-1832-1435
- 営業時間:10:00~18:00
- 定休日:土・日曜日 ※Wild Kitchenは土・日も営業
- HP:https://petsconcier.com/
- Instagram:https://www.instagram.com/wild_kitchen2025