このままでいるためには、このままではダメという事

ビジネスコネクトふじのみやにて、自社農園で栽培した原材料だけを用いた地ビールの開発と販路拡大をサポート。ものづくり補助金で充填機とラベラー購入もサポート。

  • フジヤマハンターズビール(株式会社 FARMENT)
  • 業種:酒類製造業
  • 創業日:2017年

創業のきっかけ

醸造に関してもともとは米・麦や大豆を作る農業を主としていて、その延長で麦芽・ホップを作って県内のブルワリーに卸すことがメインでした。そのうちに、「いいのものができるのであれば自分で醸造したい」と考えて酒造免許の取得をしたことがはじまりでした。

やるならちゃんとした良いものを作りたい。そしてその自信もあり、最終的には地元芝川柚野地区の自社で作ったものだけで完結したビール、というものに行きついたんです。農業とは別に狩猟もやっているので、やりたいことをやってそれを仕事にできるなら、と考えて創業しました。

大変だったこと

お金と人材には苦労しました。最初は数人で立ち上げたのですが、みんな兼業だったこともあり、思った以上に大変でしたね。市街化調整区域という場所の問題や、酒造免許や農地転用など様々なハードルがあり・・・会社ができたら結局は自分一人でした。

それでも「やるしかない」という思いでやってきました。根幹にあったのはやっぱり地元産のものでいいものを作りたいという想いが強く、兼業でやってた自営業も辞めてこの会社一本でなんとかする覚悟を決めて飛び込んだって感じです。


地元産だからこその悩み

私達の会社では、大麦・ホップを自社で収穫し、水も富士山の伏流水を浄化して使用して、希少な日本ミツバチの養蜂をやったり、酒造に必要なものは100%自社原料の限定液種はもちろん、出来る限り自社原料を使用し製造を行っています。そのおかげか、今では柚野の地ビールといったらハンターズビール、という所までこれました。これは嬉しいことですし、他ではできない唯一無二の製法を武器にして、県内外の企業様に高い評価をいただいています。

ただ、地元の方にはあまり馴染みが薄いと感じることもあり、そこが今後の目標かな、と考えています。
職業がら、ゴミ捨て場に行くとビールの空き缶が目に入るのですが、ほとんどは大量生産の安価なビールに似たものばかり。どうにかしてそこに食い込んで、希少さやおいしさを知ってもらう方法はないか、というのが今の悩みです。こんなこと言ったら地元の方に怒られるかもしれませんが、例えば県外や都内で出店して名をあげた上で戻ってくるなんてどうだろうか・・とかも考えますね。関心を持ってもらって逆輸入とか(笑)。

支援を受けて

もともとはビールを樽でおろしたり、タップルームでの販売する形態で、ある程度メディアに取り上げられたりもしました。ただそのやり方だと認知はされても飲みに来てくれるまでに至らなかったんです。そうなると必要なのが最低限の流通で、そのために必要になってくるのが充填機とラベラーだったんです。

以前は一本一本ビアガンで注いで蓋をして洗って拭いてラベルを貼って手書きして・・という作業を手作業してました。そこを何とか機械化するために芝川商工会さんに相談して補助金の申請をサポートしてもらいました。
飲食店で高級なイメージを持ってもらうことを目的とした瓶での販売でしたが、配送コストやゴミのことを考えると圧倒的に缶で流通させた方が効率がいい。
そのための充填機とラベラーでしたが、やっぱり機械はすごい!というのが最初の感想です。生産性が桁違いだし、無農薬で材料を作ったり、買えば済むものを自分たちの手で作りだすという事だけは絶対にブレずに、品質の良いものを効率的に流通させるという目的が達成できました。

お酒を使った地元の活性化

樽で飲んでもらったり量り売りで飲んでもらうっていうのが、ゴミも出ないし生産者冥利に尽きる所ではあります。都内では当たり前になっている量り売りですが、市内ではまだまだ少ない。少しずつ伸びてきてはいますが、キャンプに来られる方や一部のビール好きに利用いただいているというのが現状です。でも本来は、地元の方にデイリーユースとして使っていただきたいという思いはありますね。顔の見れる付合いはオートメーションに勝ると思いますし、嬉しくてあったかいですから。

今、ここ柚野でも人はどんどん出て行ってしまうし、生活していくためのお店や病院、ガソリンスタンドなど生活に必要な商店が無くなって、土地の問題、担い手の問題など色々課題はありますが、地元の方たちは「このままがいい」と思っています。観光バスがバンバン来たりリゾート開発されることは望んでいない。けどこのままでいるためには、このままじゃダメだと思っています。小さいけれど強いコミュニティを社会のモデルにしたくて、そこにお酒というキャッチーで懐に入りやすいツールが活躍できるのではないか、と。いろいろな課題について話すきっかけにもなる。全国から問い合わせをいただくし商品を卸してもいますが、なるべくここに来てもらって顔をみて話をして、やっている事や実際に起こっていることを感じてもらいたいと考えています。

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