どんな時でもものづくりの事を考えています。

ビジネスコネクトふじのみやで、開業資金の借り入れに関する相談、予測収支計画書の作成サポート、静岡県産業振興財団の「地域創生起業支援金」についての相談及び申請書の作成~申請まで支援。その他の補助金の活用など今後も支援する予定。

  • アトラス工房
  • 業種:楽器の製作・修理・販売
  • 創業:R5年7月11日

ギター工房を始めるきっかけ

ギターは昔から弾くのも好きでしたが、ものづくりも好きだったので、ゆくゆくはギターを作って生活ができればと愛知県にあるギター製作学校に通い、技術を習っていました。

もともとは家業の農業を法人化して、私と父と親子2代でやっていたのですが、自分に子供がいなかったこともあり、将来的な経営についてはいつも悩んでいました。
というのも、農業にはたくさんの機械や設備が必要で、計画的で継続的な設備投資が必要です。
国から補助金を頂いていくにも経営規模の拡大が必須であり、年老いて体力も落ちていく中、後継者のいない状態で、農業を継続していくことは困難に感じており、どこかで行き詰るだろうと思っていました。
家族とも日頃から先々のことは相談してきており、子供がいたら今でも農業は続けていたと思いますが、この先夫婦二人ではどうすることもできなくなる前に農業は辞めようと思っておりまして、タイミングもあり、離農という結論に至りました。

今の形になる前から、ギターの製作に必要な道具や楽器なんかは少しずつ揃えていました。自分の予定よりは随分早くなりましたが、離農後にギター工房を始めることにしたんです。
妻の実家のある静岡県に移住して、知り合いの別荘があったりしてゆかりのある富士宮市に移り住んで、購入した家をフルリフォーム。ついでに敷地内にあった倉庫を活用してここでギター工房を開業することにしました。

開業後の事業計画

一点もののギター製作って、ニッチな業界なんですが、それでも欲しい、買いたいという方はやっぱり何パーセントかはいらっしゃって、そういう方向けの業種なんです。私も好きで長野県の山奥や徳島県まで行ってギターの個人製作を見学させてもらったりもします。普通の方はまず関わることのない世界かもしれません。

この業界の製作家は基本的に不特定多数を相手にせずに、音楽好きの知り合いのツテやそこから生まれた口コミをもとにビジネスを広げていきます。それでも一本の販売単価は高いので、浅く広くという事は考えていませんし、大々的な広告も不要な商業モデルが成り立っています。
そしてだんだん実績も積みあがっていくと、楽器店など販売してくれる小売店ができたりするんです。

今後は、富士宮市の木である「かえで」を使ったギターやウクレレ製作に挑戦したいと考えています。「かえで」はメイプル材としてギターの様々な部位に使用することができるので、地元の銘木業の方と富士宮市でしか作れないギターを作ってみたいと考えています。
ゆくゆくはプロミュージシャンやギターが好きな方の為にこだわりの一本をつくれたらうれしいですね。

売上やリターンを追い求めないビジネスモデル

製作だけでなく、修理の依頼もあります。やはり知り合いの知り合いなど、口コミから請け負うことが多いですね。我々製作者はイチから作っていくことができるので、楽器屋さんやメーカーではできない修理を請け負う事もあります。
ビジネスとしては不安定に見える部分もあって、もちろん今後もずっとこれでやっていけるかというと、それはわかりません。わかりませんが、毎日とにかく工房で楽器を作っています。
製作者は、いいものを作ることにすべてをかけていますので、生活基盤の安定やリターンについてはあまり考えていない方が多いんじゃないでしょうか。起業してる人は、きっと皆さん同じだと思います。
幸い私は健康ですし、製作について声をかけて下さるかたもおりますので、なんとか無理なくやっています。

ビジネスコネクトふじのみやの仕組みについて

とはいえ今後は宣伝もしていくことを念頭に補助金等の相談はさせてもらっています。昔から物作りは好きだし得意なのですが、「売る」となると難しい。なので、販路の拡大についても相談したいし、材料である銘木業の方とのマッチングについても相談させてほしいと考えています。ほかにも設備について、今より高性能のボール盤を購入したいと考えているので、支援金等を案内してもらっています。

先日も事業計画書を作成する機会があったのですが、その際も経営指導員の方に来ていただいて、サポートしてもらいました。事業計画書は、自分のビジネスのもたらす数字がちゃんと具体的になるし、事業の先行きが見えてくるので、本当に作ってみて良かったと思っています。

税金の相談や申告する際の手続きについても相談させてもらいました。もともと経営した経験もあるし数字には強いつもりですけど、税金となると別物なので、相談できるというのはありがたかったです。もちろんある程度は自分でやりますが、サポートしてくれる仕組みがあるという事は心強いですね。

ものづくりで起業するなら早いうちに。

これは自分の意見ですけど、周りに迷惑をかけない範囲に限りますが、やりたいことを我慢して、例えばサラリーマンで定年まで働いた後に「自分は何をやってきたのかな?」と後悔することが私は嫌です。

私としては、やりたいことを見つけて、それをやって生きて行きたい。最低限食べていければいい。そんな考えでこれまでやってきています。

起業する人ってちょっと一本キレていないとだめだと思うんです。後先考えずに、やってみて展開を動かしていく。もちろんある程度は計画が必要ですけれど。

起業するのは簡単です。難しいのは継続する事です。
農業もそうでした。自分は10年ちょっとしかできなかったけど、20~30年やっている人はやっぱり凄い。ものを作っている人というのは365日、作ることに追われていて、夢の中でも考えているような、ある意味ずっとアドレナリンが出ている状態。でもそれが楽しい。
起業の醍醐味っていうのは継続することで、でも起業する事の千倍難しい至難の業だと、私は考えています。

自分なんかは、やりたい事が一生かけてもできないくらいあって、もっと早く起業できれば良かったと思っていますが、何かやりたい事のある人は、先のことは少し置いておいて、小さい一歩でも踏み出して頂ければと思います。

事業者情報

  • 企業名:アトラス工房
  • 住所:〒418-0102 静岡県富士宮市人穴203
  • 電話番号:0544-52-0318