働く人の心とキャリアに寄り添い、地域企業を支える相談のかたち

ビジネスコネクトふじのみや(以下、ビジコネ)にて、設立前の相談や、商工会議所で約2か月にわたり講義を受け、特定創業支援等事業の証明書取得をサポート。
- 株式会社エコキャリ
- 業種:専門サービス業
- 創業:2022年8月
働く人と企業をつなぐ、キャリアとメンタルヘルスの支援

株式会社エコキャリは、法人向けのキャリアコンサルティングとカウンセリングを行っています。大きく分けると、メンタルヘルスのサポートと、キャリア形成に関する支援の2 つです。
メンタルヘルスのサポートでは、休職している方や、休職につながりそうな不調を抱えている方に対してお話を伺い、復職に向けた支援を行ったり、必要に応じて受診を勧めたりしています。企業様からのご依頼で訪問することもあれば、相談者の方に弊社まで来ていただくこともあります。
たとえば、心の不調があり、パフォーマンスが落ちたり、休みがちになっている方には来談いただき、今の状態を丁寧に整理していきます。医療につなげるべきか、カウンセリングで対応するのか、職場の環境調整で対処できるかなど、企業側だけでは判断が難しい部分を専門的な視点から一緒に考えていきます。
経営者の方は、生産性を上げることや目標を達成することに向き合う立場です。そこに従業員の心のケアまで含めて対応するのは、簡単なことではありません。だからこそ、第三者として関わる意味があると感じています。イメージとしては、会社の外にいる「保健室の先生」のような存在かもしれません。
一方で、キャリアコンサルティングは、前向きに働き続けるための支援です。管理職の方が部下のマネジメントに悩んでいるとき、従業員のモチベーションをどう保てばよいか考えたいとき、あるいはこの先やりたいことが無いにも関わらず「転職したい」と感じる気持ちの背景を整理したいときに、対話を通して一緒に考えていきます。「こうすればよい」と一方的に教えるのではなく、「どうしていきたいのか」「今のもやもやはどこから来ているのか」を本人が見つめられるように支援する。それが、エコキャリのキャリアコンサルティングです。
3つの専門性を組み合わせた支援
エコキャリの強みは、キャリア、メンタルヘルス、ソーシャルワークの視点を組み合わせて支援できることです。
公認心理師、キャリアコンサルタント、社会福祉士という資格をもとに、働く人の悩みを一方向からではなく、複数の角度から見ていきます。キャリアの相談だと思っていても、背景に心の不調がある場合もあります。反対に、メンタルヘルスの問題に見えても、働き方や職場での役割、将来への不安が関係していることもあります。
それぞれの領域を切り分けるのではなく、つなげて考えること。そこに、私たちの役割があると思っています。
働き方への違和感から見えた専門職への道

もともと私は、システムエンジニアとして社会人生活を始めました。2000 年頃は、システムの仕事が広がっていた時代です。大学ではマーケティングを専攻していたこともあり、これからのキャリアを考える中で、システムを学んでおくことは自分の選択肢を広げるのではないかと考えました。
当時は、「24 時間働けますか」という言葉が象徴するような空気があり、男女雇用機会均等法の改正で女性の時間外労働・深夜労働の法的規制が廃止された時代です。働くなら長時間でも頑張るものだという感覚の中で、残業時間が100 時間、120 時間になることもありました。周囲には、性別問わず、頭痛や肩こり、目の痛み、肌の不調など、どこかに不調を抱えながら働いている人が多くいました。
その姿を見ながら、働き方はもっと考えた方がよいのではないかと感じるようになりました。私はシステムを作る側よりも、働く人を支える側に回った方が、自分の生きる道があるのではないか。そう思ったことが、今の仕事につながっています。
システムエンジニア時代の仕事も、実は関係調整の連続でした。営業が受けてきた仕事を要件定義し、協力会社さんと調整しながら形にしていく。人と人の間に立つ経験は、今の仕事にも活きています。
その後、行政の児童福祉の現場で虐待対応などに関わり、社会福祉士の資格を取得しました。家庭、保育園、学校、地域の方々など、さまざまな立場の人をつなぎながら、一人の命を見守る仕事です。地域の中で情報を受け取り、必要な人につないでいく経験を積むことができました。
さらに、EAP サービスを行う会社で、産業領域のカウンセリングや企業へのコンサルテーションを経験しました。県内の多くの企業のカウンセリングサービスに関わり、比較的規模の大きな大規模な企業のメンタルヘルス支援や、人事・経営層へのフィードバックも担当しました。
その中で気づいたのが、富士宮の方がほとんど相談に来ていないということでした。地元にも必要な方はいるはずなのに、届いていない。知られていない。そこを何とかすくい上げたいと思いました。
大手企業向けのメンタルヘルスサービスはありますが、中小企業に届けるには、違う仕組みが必要です。50 人未満の企業にも届く形を作りたい。地域の中にいる税理士さんや社労士さんのように、身近に相談できる存在になれたらと考え、独立に向けて動き始めました。
ビジコネの支援を受けて

個人事業として開業していた頃、法人化するかどうかを悩んでいました。カウンセラーとして起業したいという思いはありましたが、自分で事業を立ち上げることには不安もありました。
カウンセリングの仕事は、相談者が来てくれる環境の中で行うことが多い仕事です。けれど、自分で起業するなら、自分の事業を伝え、営業し、予算を考え、目標を達成していかなければなりません。そのために営業会社で修業した時期もあります。怖いからこその遠回りでしたが、私にとっては必要な過程でした。
ビジネスコネクトふじのみやとのつながりは、商工振興課さんとの関わりがきっかけでした。市の新人研修や、働く人の労働安全衛生講座などを担当していたこともあり、そこから相談につながっていきました。
創業に向けては、芝川商工会の小澤さんに相談した際に「富士宮なら富士宮商工会議所に行くといいよ」と教えていただき、小笠原さんを紹介してもらいました。通常の創業支援セミナーのタイミングが終わっていたため、個別に対応していただき、特定創業支援等事業の証明書取得に向けて、商工会議所で約2か月にわたり創業に必要な知識を学びました。
地域で事業を育てるための相談相手
支援を受けてよかったことは、分からないことを教えてもらえたことだけではありません。私にとって大きかったのは、富士宮の地域性を一緒に考えてもらえたことです。
私は中学校までは富士宮で過ごしましたが、高校は富士市、大学は東京、その後は愛知県や静岡市内の企業で仕事をしてきました。富士宮出身でありながら、富士宮のビジネスのことをよく知らなかったのです。
この仕事は、説明すれば必要性を分かってもらえます。ただ、それが富士宮で受け入れられるのか、そもそも市場があるのかは分かりませんでした。
小笠原さんとは、「ブルーオーシャンというより、まだ海がない状態かもしれない」と話していました。市場を耕すところから始める必要があるという感覚です。
富士宮は、人のつながりを大切にする地域です。そこに受け入れていただければ、強みになる一方で、必要ないと言われてしまえば仕事になりません。富士宮の地域性を含めた事業の進め方を具体的に相談しながら整理していきました。
補助金や融資、金融機関や経済団体とのつながりについても、自分一人では分からなかったことを教えていただきました。小規模事業者持続化補助金についても相談し、採択後にはパンフレットを作り、商工会議所の会報に同封するところまで、一緒にストーリーを考えてもらいました。
専門職として、自分自身も専門家に相談する大切さは分かっていたつもりです。それでも、創業に関する制度や地域の情報は、自力で探すより、専門家に聞いた方が明らかに早い。ビジコネで相談できたことは、創業期の大きな支えになりました。
対話とつながりから広がる事業

現在力を入れているのは、相談や伴走支援、そして対話の場づくりです。
営業担当の方が目標設定に悩んでいるときに面談しながら一緒に整理したり、職場に復帰した方の困りごとをどう解決していくかを話し合ったりしています。最近増えているのは、ダイアローグと呼んでいる対話の場です。
会議ではなく、もう少しゆるやかに話せる場を作る。上司や経営者がいると、どうしても顔色をうかがってしまうことがあります。そこに第三者の専門職が入ることで、本音に近い言葉が出てきたり、関係者同士の理解が進んだりすることがあります。
管理職ダイアローグや支援者ダイアローグのように、誰かを支援するために、周囲が何をすればよいのかを一緒に考える場も増えています。健康経営やストレスチェックへの対応を見据え、人を大切にする経営を形にしたい企業さんとも取り組みを進めています。
創業後の個人事業主を支えるコミュニティ
もう一つ、大切にしているのが個人事業主さんのコミュニティ「キャリアのかんづめ」です。
創業前の支援は、行政や商工会議所などにあります。しかし、創業した後は、自分で考えて進めていかなければならないことが多くなります。そこで、個人事業主さんたちが集まり、学び合い、応援し合える場を作っています。
チラシを自分たちで作ってみる、ワークショップを開催してみる、キャリア視点で自分の仕事を人に伝えてみる。最初から大きなお金をかけられない中で、どこまで自分でできるかを一緒に練習する場です。
ものを1 つ売るだけでは、1,000 円、2,000 円の世界で止まってしまうことがあります。けれど、ワークショップとして組み立てれば、教えることが価値になり、収入の形も変わっていきます。私自身も、子育て中にハンドメイドやマルシェ出店を経験し、それだけでは継続が難しいと感じた一人です。だからこそ、教えること、伝えることを仕事にしていく方法を一緒に考えています。
この場では、人と人がつながっていきます。講師が決まると、その方が何をしたいのかを一緒に考え、参加者にも自分の活動や応援してほしいことを話してもらいます。習う内容だけでなく、「あの人に会いたいから行く」という参加も生まれています。地域の中で仕事を育てていくうえで、とても良い形だと感じています。
企業同士をつなぎ、商品開発を後押しする
商工振興課さんの富士宮市中小企業相互交流促進事業にも関わっています。川崎市と富士宮市の中小企業連携の中で、具体的な事業や商品を生み出していく取り組みです。
富士宮には高い技術を持つ製造業の方々がたくさんいます。一方で、契約上、自社として「これを作りました」と見せられるものが少ない場合もあります。技術はあるけれど、見せられる商品がない。そこで、自社の技術を形にできる商品開発に挑戦しています。
私自身は商品開発の専門家ではありません。役割としては、商品開発に取り組む人たちのサポートや、関係者同士の調整、事業としてどこまで進めるのかを整理することです。作る人、教える人、つなぐ人を集め、企業同士をマッチングしていく。皆さんの「やらなければ」「やりたい」という気持ちを集め、前に進めるための伴走役だと思っています。
これから取り組みたいこと

今後取り組みたいことの一つは、企業と個人の仕事をシェアする仕組みです。
企業さんと関わる中で、どこも人材不足だと感じています。一方で、個人事業主の方や、子育てが少し落ち着いてきた方の中には、少しなら仕事を引き受けられるという人もいます。企業の中にある小さな仕事を切り分けて、そうした個人の方とつなげられないかと考えています。
最初はちょっとしたお手伝いでも、週1 回の仕事になり、パートのような関わりになり、最終的には雇用につながるかもしれません。企業にとっても、雇うか雇わないかの二択ではなく、人との関わり方を増やすきっかけになります。小さな仕事の出し方を細分化し、外部人材を活用するサポートができるのではないかと思っています。
もう一つは、富士宮に移住して来る若い方や新入社員さんを、地域で支えられる仕組みです。
知らない土地で一人で働き始めることは、想像以上に心細いものです。友人も少なく、相談できる人も近くにいない中で、出社できなくなってしまい孤立するケースもあります。そうしたとき、会社の社長や上司とは違う立場で、LINE 一つでもつながれる関係があれば、安心につながるのではないでしょうか。
仕事だけでなく、暮らしの入り口も含めて支える。そんな仕組みを、地域の中で作っていきたいと考えています。
また、部活動の地域展開に関する会議運営や情報発信など、教育委員会さんからいただいている地域に関わる仕事もあります。企業支援、個人事業主支援、地域活動支援。やりたいことが詰まっている感覚です。
創業を考えている方へ
これから創業する方には、ビジネスコネクトふじのみやをぜひ活用してほしいと思います。
富士宮は、良い意味でつながりが強く、口コミの力も大きい地域です。身近な方からのアドバイスを受ける機会も多いと思います。ただ、身近な人の情報と、専門家の情報は違います。
行政には行政の役割があり、商工会議所や商工会にはそれぞれの役割があります。金融機関にも、金融機関だからこそできることがあります。すべてを網羅している人はいないからこそ、それぞれの専門家に出会っておくことが大切です。
創業したいと思っている段階でも、一度話をしてみるとよいと思います。頭の中にあることを言葉にするだけでも、自分が何を考えているのか整理されていきます。相談は、答えをもらうだけの場ではなく、考えていることをアウトプットする場にもなります。
ビジネスコネクトふじのみやに相談に行く前に、弊社のキャリアコンサルティングを利用してくださる方もいます。「何が何だか分からないけれど、そろそろ何かやってみたい」と思っている方と一緒に考えをまとめ、「これを持って商工会議所に行ってみてください」とつなぐことがあります。
専門家に頼ることは、遠回りではありません。むしろ、自分のやりたいことを早く形にするための近道です。地域で事業を始めたい方には、一人で抱え込まず、まず話してみることをおすすめしたいです。
事業者情報
- 事業者名:株式会社エコキャリ
- 住所:〒418-0066 静岡県富士宮市大宮町12-10
- 電話番号:090-5039-4738
- ホームページ:https://ecocaree.jp/
- Facebook:https://www.facebook.com/rieko.nara.7
- Instagram:https://www.instagram.com/odarieko_riz/
- LINE:https://page.line.me/355tssgs?openQrModal=true